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2007-03-01(Thu)

自分らしく

20代の頃、何かに行き詰ったり、悩んだり、落ち込んだりしたときには、よく海を見に行った。夜中でも、準夜勤が終わると車を走らせ、新日鉄の明かりを見ながらボ〜ッとしたものだ。
ドラマ「華麗なる一族」なら、ここで爆発事故の一つでも起こるのだが・・・

今日は急に髪を切りたくなって、美容院へ行き、車を洗車したくなって、GSへ行ったら、なんだか無性に海が見たくなった。

冒頭で書いたような悩みは今はないけれど、いつもの海が見える公園に行ってみることにした。

天気が良く、陽射しは暖かかったが、風は冷たく、目にしみてまるで泣いているかのようだった。
はたから見たら、「あの人失恋でもして海を見に来たのかな?」と思われたに違いない。ちょっと恥ずかしいかな・・・

目を瞑ってしばらく瞑想。目を開けて波をじっと見つめる・・・
特別困っていることもない現在、ただただ心地よく波の音を聴きキラキラ光る海を眺める。たまにはこんな時間も必要だ。

看護師をやめてアロマセラピストの資格をとろうと決めたのは
この場所があったからだった。
当時失恋して、どん底にいた私は仕事にもストレスを感じ
この先何を支えに生きていこうかと悩んでいたのだ。

あの頃はまだ、いわゆるスピリチュアルな本はあまり出回っておらず、
日本人が書いた自己実現、自己啓発本を海の見える公園で読みながら、
「自分は何をしているときが一番自分らしくいられるのだろう?」
「自分は何が好きで、何に興味を持って、何をしているときが一番楽しいと思いワクワクするのだろう?」

そんなことを考えていた。
そして出た答えが看護師を辞めて、
アロマセラピストの資格を取りに行くことだった。

あの時失恋していなければ、今の私はいない。
不平不満を言いながら看護師を続けて、
シケた顔して生きていたかもしれない。


海を見ながら、「看護師には2度と戻らない」と決意をし、
”看護師という仕事も、よく頑張ってきたな〜”
”これからはヒーラーとして人を癒す仕事をしていけるんだな〜”
と、なんだか自分でジ〜ンときていた。

不安はあまりなく、何とかやっていけそうな気がした。
好きなことをやるのだから、苦労があったとしてもきっと乗り越えられるはずだ。

いよいよ”時がきた”のだ。

よし!と思いベンチから腰を上げると、
お尻の下に敷いていたフリーペーパーがパラッと風で飛び、
振り返ると杖をついた男がいたことに気が付いた。

慌てて紙を拾いその場から離れ、後ろを確認すると、
見覚えのあるおさげ髪の女性がその男に寄り添っていた。

以前うちの病院に入院していた患者だった。
オサゲ髪の女は妻ではなかった。
入院中、妻の姿は一度もみかけなかったし、
彼女はまるで妻のように見舞っていたので、
2人を攻めるつもりもない。大人の事情というやつだろう。


陽射しの中、少女のように男の腕にしがみつく彼女が
なんだかまぶしく見えた。
そんな彼女のニックネームは「邪馬台国」。
おさげ髪が、卑弥呼みたいだったから。
勿論ナースステーションの中で呼んでいただけだけど(^_-)

2人とも幸せそうに見えた。









2007-03-01(Thu)

心を病む人たち

昨夜は夜勤で外来の救急患者を看させていただいた。
私がこの当番になると、必ず1人は精神科系の患者が来る。

夜間の外来にかかる人は、よほどの急病か、一部は
「え?こんなことでこの時間に来るの?」って人までバラエティに富んでいる。昨夜の印象に残っている患者を紹介したい。

15歳の男の子。太ももに水ぶくれができてしまったので診てもらいたいという母からの電話。
「え?それだけ?」と思わずにはいられない。
父親が付き添いやってきたのだが、どう診ても今夜来る必要はなさそうだった。こんなことで病院にかかるなんて、お金の無駄だと思わないんだろうか?私なら、ラベンダーかレスキュークリームを塗っておしまいか、翌日昼間に皮膚科に行っただろう。

54歳男性。全身に蕁麻疹がでているので診てもらいたいという妻からの電話。これは仕方ないのですぐに来ていただいて構わない。
確かに痒そうな膨隆疹である。痒み止めの筋肉注射と、静脈注射をし、内服薬が処方された。「どのぐらいで効いてくるかな?」と心配していたおじさんは、数分後「いや〜、痒くなくなったよ!!」と嬉しそうに帰っていった。元気になって帰っていく患者を見るのは実に嬉しい。

45歳男性。2:40腹痛のため救急車で来院。どうも様子がおかしい。救急隊は電話では隠していたのだ。彼が精神科疾患を持っていることを。当直医は「そういうことは早く言ってよ」と言っていたが、言ったら断ったのか?と内心思った。

さて、この患者。うつ病で精神科に通うようになって10年以上。
腹痛はここ数日続いているらしい。
近医で検査をしたが、特に異常はなく、精神科の薬を調節してもらいなさいと言われたのだとか。

言われたとおり、精神科で薬を減らしてもらい、近医にそのことを告げると軽くあしらわれて腹が立ったのだという。あそこの医者は医者じゃない!と興奮した様子で話していた。
とにかく腹痛に対する痛み止めはあまり効かなかったらしい。

さて、今回うちの病院でどんな治療をするか・・・
腹痛の痛み止めは、やはりどこも変わらない。
当直医の指示もそれだった。プラス精神安定剤の筋肉注射の指示。

本人もかなり詳しく、今までの経緯を説明できていたのだが
救急車の後を追って出たはずの家族がなかなか到着しなかった為、
当直医も「うん、うん」と優しく彼の話を聞いて待っていた。
話を優しく聞いてくれたことに満足した彼は、先生に
「ありがとう、先生」と感謝していた。

彼の父親は72歳。彼が言うには
「お父さん、僕のせいで、おかしくなっちゃった。
お母さんから聞いた。車の運転も危なくて、赤信号なのに停まらなかった。」(ホントにこんな調子でしゃべっていたのだ)

”おいおい、お父さんが途中で事故っちゃってんじゃないのかい?”
と心配になったが、
「お父さんがおかしいというのは、貴方のせいだけではないかもしれないですよ」などと励ましたりして話を聞いていたのだが、あまりに遅すぎる。自宅へ電話すると、これまた70代の母親が出て、
カーナビで設定していたのでもう着く頃なんですが・・・とのこと。

”えっ?ナビ?私だってナビないのに”と思っているところへお父さん登場。「慌ててナビを設定したから、時間かかちゃってね〜」

点滴が終わるまでは自分も休むことができないので、
まずは筋肉注射の後、肩を揉みながらマッサージした。
彼は、不随意運動のような動きがみられたからだ。

そして、点滴が終わるまでの間、30分以上、患者とその父親のこれまで病院でされてきた対応について話を聞かせてもらった。
お腹に手を当てながら、こっそりレイキをしながら、話を聞いた。
彼には妹がいて、もう結婚して家を出ているらしいが、
この先の彼のことが両親もさぞや心配だろうなと思った。

点滴が終わる頃には、かなり落ち着いた話し方になり、
痛みも殆どなくなった様子。
「今までのなかで、一番痛くないです。
何の薬が入っていたんですか?」と彼は言った。

同じ薬でも、もらう人によって効き目が違うという話を聞いたことがある。今日の点滴はいつもあなたが行っている病院と同じ内容であると説明すると少し驚いていたが、彼の表情は明らかに落ち着いていた。

私がアロマセラピストの資格を取り、臨床に復帰した頃、
患者が「痛い」というと
「はいはい、じゃあ、痛み止めね!」という看護にものすごい疑問を感じたのだが、いつの間にか、自分もその一人になっていて、
辞めるという時になって、一番大事なことに気づいた気がする。

患者の痛みは、身体的な痛みだけではないのだ。
心で感じる痛みが、身体の痛みを更に増強している場合も多い。
勿論、痛み止めは使用して構わないし、必要なのであるが、
その後のケアひとつで、それは良くも悪くもなるのだということを痛感した。


他にも、半年も前から全身がイタイので診察してほしいと言い、
どうぞいらしてくださいと言ったにも関わらず来院しなかった32歳の男性や、夫婦喧嘩で顔を殴られた女性などが来たのだが、長くなってしまったのでここで終わりにしようと思う。

一体なぜこんなにも心を病む人が増えたのか?
精神科疾患を持つ人だけが病気のように扱われるが、
私は他にも病んでいる人がいっぱいいるよ・・・と思わずにはいられなかった。












プロフィール
かに座・戌年・A型。看護師・英国IFA認定アロマセラピスト

Author:あろまなーす

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